因果応報な日々

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酒井順子『女子と鉄道』を読む

 自分は完全に鉄ヲタだと思っているが、自分で車を運転できるようになってからは、何かにつけ車で出掛けることがほとんどとなり、鉄道を利用することはめっきり減った。あろうことか、周りからは結構なクルマ好きと思われているフシもある。

「お盆はどこか行きました?」
「東北に行って来た」
「車でですか」
「………」



 そうした日頃の行いの悪さ(?)を反省すべく、年に何度かは鉄道を使って旅行に出掛ける。車と比べたらやはり機動性には劣るが何より気楽でいい。寝ていても目的地に着く。よそ見もし放題。酒も飲める。しかし、根がヲタなので、乗り方も半端ではなく、1日中乗り倒すことが何日も続く。大抵「青春18きっぷ」を使うので、とにかく鈍行で距離を稼がないと「もったいない」と思ってしまうのだ。中学時代から「青春18」は愛用しているが、大人になった今でもその発想は変わらない。嗚呼。

 「青春18」シーズンには、私のようなギラギラ(ギトギトかもしれん)した「18キッパー」の他に、おそらく「18キッパー」であろう女性の旅行者もしばしば見受ける。しかし同じ「18キッパー」でも全然違う。あちらは全然ギラギラしてない。時刻表もこっちは大判なのに、あちらは小型のやつだ。共通してるのは一人で旅行していることくらいか。

 ああいう人たちはどこへ何しに行くんだろう(旅行なんだろうけど)、と思っていたが、『女子と鉄道』を読んで、なるほどこういう人たちだったんだなと得心が行った。鉄道ファンなのだ。そして女性の鉄道の楽しみ方は、なんて爽やかなのだろう。全線乗りつぶしや時刻表のバックナンバーを集めるわけではない。「単に鉄道の揺れに身を任せることの肉体的快感や、「きれいだなぁ」とか「何もするべきことがなくて嬉しい」といった感覚をもとめるため」なのだ。肉体的にも精神的にも健康的だ。私ももう少し素朴に鉄道を楽しんだほうがいいのかも知れぬ。

 もっとも、酒井氏も私も敬愛する故宮脇俊三先生によれば、男の鉄道好きについて、会社の同僚に「(女も鉄道も)同じ乗りものですからね(出典失念)」と言われたのだそうな。煩悩まみれである。わはは。

 鉄道好きの女性が増えることは誠に喜ばしい。女性に限らないのだろうが、特に女性には理解されない趣味だと思って来たので、これは奇跡的な和解ですらある。しかしながら、あちらは茶道や華道を嗜むように鉄道も嗜んでおられるが、こちらは嗜むどころか、骨の髄までしゃぶり尽くす勢いなので、やはり水と油、彼我に見えない越え難き壁を感じ、この奇跡的な和解の決裂を直感したのであった。そう、酒井氏が述べているように、我々は「孤独を愛してい」るのである。どうってことはないさ。さて、また一人でどこかへ出掛けることにしましょうか…。

酒井順子『女子と鉄道』(光文社)

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by seiwadai_walker | 2007-01-01 02:42 | テツ
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とりあえず何か書き綴ります…


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